カニ魔王

 地球のほぼ裏側、南米の秘境ペルーからはるばる太平洋を渡って日本にやってきた大妖怪「カニ魔王」。数万匹のカニたちを支配している。主に夜中に活動し、人間たちに毎年1人、生娘を嫁に差し出すように告げる。断れば配下のカニたちがどこまでも追いかけてきてすべてのものを切り刻む。海辺に多く出現するが、カニはジャングルの中にも生息しているので海辺から離れれば安心とは言えない。因みにカニ魔王は単独の存在ではなく、それぞれが数万のカニを支配する『魔王』級が複数存在し、ペルー全域を分割支配しているという説もある。

 と、いうのはフィクションで(もとより何もかもがフィクションともいえるが)、デザインの元はシパン王墓の副葬品(旗章の一部?)である。だいたいカタログなんかでは「カニの怪人」と呼ばれている。カニのモチーフは土器でよく用いられており、二本足と人間の頭をもつカニ(怪物)も複数土器に見られることから、沿岸部に栄えたモチェ文化における神的存在のひとつだったのだろう。


発表時期 2017年5月

国  籍 ペルー

由  来 モチェ

モチェはAD 0~700年ごろにペルー北部海岸で栄えた文化圏。立体造形に優れ、黄金をはじめ数々の美しい工芸品を残した。大きくて水の豊かな川から用水路を引いて、砂漠を農地に変えていった。つまり、「灌漑農業」を積極的に行う農業先進国だったらしい。