ナスカとパラカスの意匠 Design of Nazca and Paracas

 パラカスは、ペルー南海岸のイカ川下流域からパラカス半島にかけて、紀元前800年(前1400年とも)~前100年ごろに栄えた文化。灌漑など農耕技術の発展により作高が向上、アンデス高地とも交易を行った。そのため、海岸地帯ではあまり使われていなかった染色性の高い獣毛糸を利用するようになり、パラカスの織物は色彩に富んだものとなった。こうした染織の技巧やミイラ葬、地上絵などの文化的特徴は、その後のナスカ文化に引き継がれた。

 ナスカは、BC 200~AD 600年ごろに、ペルー南部海岸の砂漠地帯(5 mmの雨が降れば豪雨扱い)で栄えた文化。地上絵が圧倒的に有名だが、土器や織物にも面白いものが多い。特に土器は、スリップ(泥漿)をかけた上に絵を付けて焼成する様式で、色彩豊かに不思議な図像で埋め尽くされた作品が目立つ。