2023年に作ったもの


◆カレンダー《月と月の聖獣》

「辰年」にあやかってドラゴンっぽい図案をメインにしました。

「月の聖獣」は、ペルー北海岸の神話世界で重要であったと考えられているという話を聞きました。ペルー北海岸で栄えたガジナソ、ビクス、モチェ、チムー、チムー=インカなどの各文化のほか、ペルー北高地のレクワイ文化でも、土器や金属製品そして織物に表現されました。紀元前200年頃から16世紀まで2000年近く信仰の対象であり続けたと云えるかもしれません(日本に置き換えると弥生時代から室町時代までに相当)。

 

実はドラゴン的な何かかと思っていた「モチェの神獣」「モチェのドラゴン」もこの「月の聖獣」だったようです。まあ、月の聖獣がドラゴン的な何かじゃないって証拠はないし、いいか(いいのか?)。

 

月の聖獣のモデルとなった動物については、ジャガー、キツネ、イヌやイグアナなど諸説あったものの近年はヤマネコ説が有力らしいです。ヤヤマネコが夜行性であることから、月と関連する神話世界の動物として創り出されたと考えられているとか。さらに、ペルー北海岸では太陽よりも月が重要視されていたことが植民地時代の記述にあるそうです(探さなきゃ)。

 

月の聖獣は天界だけでなく、海や人身供犠とも関連付けて描かれたと言われます。また、時代の経過とともにその姿を変化させ、チムー文化では王国を象徴する存在となったと考えられています。


◆シール《蜘蛛の神》

10月末から大怪店で開催された《僕らの妖怪シール展 其ノ銃参》に合わせて制作。蜘蛛のような人型存在も、アンデス文明モチェ文化(紀元1〜7世紀、ペルー北海岸部)ではよく使われる意匠だ。アイアパエク神の変身形だけかと思っていたらそれだけでもなく、以前の図録に以下のような説明があった。蜘蛛は獲物を糸で捕らえ、後日にその体液を吸うことから、戦士が敵を捕らえてのちにその捕虜の血をとる(飲む? 盃にとって神に捧げる?)ことのアナロジーとしてみなされ、戦士を象徴する意匠として利用されたという説だ。土器にも描かれるが、金属器でも非常に芸術性の高い作品が残る蜘蛛を、今回は神として取り上げ、シール仲間に迎えた。


◆《お菓子なようしゅけ2023》シリーズ

9月の大怪店七周年記念怪に合わせて製作。大怪店オリジナル妖怪「妖衆化(ようすけ)」のデフォルメ版「ようしゅけ」を地上絵風に。奇妙なシールと缶バッジ、マグネットステッカーを作った。なお、横棒と丸ボッチはマヤ数字で「2023」。ステッカーの下方のマヤ文字は、「7年 よ うしゆくえ」と描かれている。


◆《お菓子な地上絵》Tシャツと缶バッジ

8月のコミケ102用に新作として製作。《世にも奇妙なシール展》の奇妙な《地上絵シール》を見ていて「美味しそう」とうっかり思い、「クッキーにならないか?」と作ってみた。Tシャツのインクジェット印刷は少数を受けてくれる印刷会社に発注。缶バッジは池袋の同人工房で作った。


◆奇妙なシール《パラカスの地上絵》

2023年7月に大怪店で開催された《世にも奇妙なシール展》出品作品。ナスカの前に栄えたパラカス文化のゆるかわ地上絵をとりあげた。いつもの52mm角。サンドパウダーやスチレンボードを利用して制作したもので、5-7mmの厚みがある(でもスチレンボードで軽いのでシールとして貼れるはず)。側面にはゴールドの帯を施してある。


◆シール《エビ武将》

《エビ武将》のオリジナルは、ペルー北海岸で1~7世紀に栄えたモチェ文化の土器に描かれた神的存在である。海川にかかわる存在であるから、《夜の神》や《カニ魔王》と同じ陣営と思われる(たぶん)。土器上の絵画表現ではハサミを持つザリガニ系の姿が多いが、カニと並んでエビ類も超絶人気のモチーフであることを鑑みるにエビ戦士としてまとめてよかろうなのだ(ザリガニもエビの仲間だしそれで赦してください)。